「ギャンブルは胴元が儲ける商売であるが故に、胴元が必ず勝つように仕組まれている」そう考えている人は多いのではないでしょうか。確かにすべてのギャンブルは致命的な欠陥がない限り、全体的に見れば胴元がプラスになるように設計されています。しかし、ギャンブルの種類によっては、一握りの客が勝ち続けることも十分可能だと断言できます。
この度「馬券マネジメント」という競馬に関わるプロジェクトを立ち上げるに至りましたが、もともと私はパチンコとパチスロで利益を出していました。年間の学費(東京大学学部生の場合は約54万円)程度は軽く捻出できる腕前です。
なぜパチンコやパチスロで利益を出すことが可能なのでしょうか? それは、パチンコやパチスロは打ち手の技量によって期待値が変動するギャンブルだからです。パチンコに関しては有名なボーダーラインという理論(1000円で一定回数デジタルを回すことができれば期待値100%というラインを計算で算出したもの)があります。ボーダーラインを上回れば期待値100%以上、下回れば100%以下という単純な理論であり、期待値100%を超えるような釘調整の台を探して打つだけで簡単に収支をプラスにすることができます。スロットは一般的に6段階の設定がありますので、期待値100%超の高設定台を探し出して打てば黙っていてもプラスになるというわけです。パチンコとスロットで勝つための共通項は「期待値100%超の台を打つ」ことと言えます。
ただ、一般的な負け組ギャンブラーは期待値100%超えの施行を行なっていても、すぐに結果が出ないと懐疑的な思考に陥るケースが多いようです。これはサイコロを使ったギャンブルを例にして考えると良くわかります。
「1000円賭けてサイコロを振り、1の目が出れば7000円の配当金が得られる」というギャンブルがあると仮定します。このギャンブルは誰の目から見ても賭け手に有利な条件であることはひと目でわかると思います。この施行を1回行なうことで得られる配当の期待値は7000÷6≒1167。賭け金1000円に対して約1167円の配当金が期待できるわけですから、回収率に換算すると116.7%という非常に有利な条件となります。しかし、これほど有利なギャンブルでも100回程度の施行回数では、負ける確率が約29%もあるのです。
※上記の条件で回収率が100%を超えるのは、100回サイコロを振る間に1の目が15回以上出た時です。表計算ソフトのExcelで二項分布の関数<BINOMDIST>を用いて「100回の施行回数で、確率6分の1の当たりが14回以下しか出ない確率」を計算すると、0.287という値が返ってきます。すなわち10回に3回は負ける計算です。


 これほど有利な条件のギャンブルでも、100回単位のスパンで収支がマイナスになると、大抵の人は不安に感じてこの施行をやめようかと迷い始めるでしょう。ここで迷わずに次の期待値116.7%の施行に向かえるかどうかが勝ち組と負け組の線引きとなってきます。ちなみに施行回数を1000回に引き上げれば、負ける確率(確率6分の1の当たりが142回以下しか出ない確率)は1.9%まで減少します。



 以上のサイコロの例から、ギャンブルで収支をプラスにする唯一無二の方法は「期待値100%超の施行を無数に繰り返す」であることが理解できたかと思います。よく競馬場で耳にする「今日は勝った、負けた」というふうに1日程度の短いスパンでの勝ち負けを追い求める勝負の仕方は、負け組のギャンブルと断言できます。少なくとも数千回単位の施行で収支がプラスになる見込みがある施行を繰り返せるのが、勝ち組のギャンブル(ギャンブルというよりも、むしろ投資と考えた方が良いかもしれません)です。そしてこの発想から競馬を捉えたのが「馬券マネジメント」となります。次回は、なぜ投資対象として「競馬」を選んだかについてお話します。

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